事あるごとにずっと言ってきた。
ふるむは多重人格か憑りつかれてるんじゃないの?
それくらいおかしな行動ばかりとるから口癖のように言ってきた。
それがまさか本当にそうだと言われるとは思わなかった。
半信半疑。
半分信じて半分疑う。
これほどまでにこの言葉の意味を実感したことはなかった。
憑りつかれている。
そう思って振り返ると思い当たらないことがなくもない。
いつだったか、ふるむの腰あたり、左右どちらかは覚えてないけど
片側がものすごく出っ張っていたことがある。
コブができたみたいにだ。
上から見ても完全に片側が変形していた。
腫瘍が出来てしまったと思い慌てて病院に行った。
細胞も取って検査したが異常なし。
脂肪腫と診断された。
問題ないと言われてそのうち忘れていたが自然にそれはなくなっていた。
また別の時、サンペイちゃんが
こいつの骨、奇形かも!ここ出っ張ってるんだよ。
と言った。
触ってみると骨がボコっと出っ張っていた。
それもまた、腰の辺り。 左右どちらかは覚えてないけど。
その時は元気そうなので様子を見たけど、そのうちその存在を忘れていた。
それからどれくらい経ったか、何かの用で病院に行ったときに
そうだ。と思いその骨の事を言ってみた。
前ほど分かりやすくはなかったけど、その骨を見つけて
先生にここ、ここ!と言って触って、診てもらった。
先生は、
う~ん。確かに出っ張ってはいるけど痛がらないし問題はなさそうだね。
もし痛がったり元気がなかったらその時はまた言ってね。
と言っていた。
やっぱり奇形か。と思い、またもそのことを忘れていた。
Mさんに腰に憑いていると言われるその時まで
完全にどちらの事も忘れていた。
簡単にいうとそんなものはいつの間にか目立たなくなっていたから。
その言葉を聞いてハッと思い出しMさんに言うと
だって骨や腫瘍じゃないもん。
とあっさり。
その日家に帰ってからじっくりふるむの身体を調べても
やっぱりどちらも見つからなかった。
あれほど目立ったあの腫瘍や骨は消えてなくなっていた。
思い起こせばあったりなかったりしていたんだと思う。
ちょっとゾクッとした。
それらのせいだと思うと
今まで起こった奇妙な行動もすべて納得出来てしまう。
それでもまだ憑りつかれていたかどうかは半信半疑。
結びつけようと思えばすべてそちらに結びつけることは簡単だ。
でも、やっぱり信じられない自分もいる。
これに関しては答えを出さなくたっていいと今は思ってる。
だって、何を一番望んでるかというと
ふるむと私たちが安心して生活できるようになればいい。ということ。
だから都合のいいところは信じよう。
でも疑問を持つことも悪いことではないから
このまま時の流れに身を任せてみようと思ってる。
だってだって。
超現実的ではないでしょ~
